この春からの新プロジェクト~セブ島 ゴミ集積所での音楽教室
こんにちは、セブンスピリットの永田です。
新年度が始まり新生活がスタートした方も多いと思いますがセブンスピリットも新しい音楽プロジェクトをスタートしました。
それは普段から週末のスタディーツアーで訪問していたセブ市の南部イナヤワン地区のごみ集積場のそばのコミュニティでの音楽アウトリーチ・プロジェクトです。この機会に始めてみようと現地のニーズ調査、住民との調整を進めておりました。
イナヤワンのゴミ集積場とは?
セブのごみ集積所の背景ついて簡単に説明をすると。
フィリピンは18年前まではごみを焼却して処理をしていました。しかしプラスティック製品が増える中で特にごみの分別をしていなかったこともあり焼却場からダイオキシンなど有毒な物質が検出されるようになり、法律でごみは燃やさないという方針になりました。
そして、数十年間、ごみが溜め続けられて山になったのが現在のごみ山です。
ごみ山の側には1.000家族ぐらいが住む集落があります。多くの人々はごみ山から金属、プラスティック、缶を拾い集めて、それらを売って生活費にして暮らしていました。2015年に大きなショッピングモール SM sea side mall がオープンするにあたりごみの臭いがショッピングモールにまで届いてしまうという恐れからごみ山の閉鎖が決まりました。
現在もごみ山のすべてが閉鎖したわけではなく、一部のエリアでは今でもごみが運ばれてきていますが、運ばれてくるゴミの量は減りました。この閉鎖により、ごみから売れるものを拾い集めて生活をしていた人々の生活はさらに困窮しました。
イナヤワンの人々がごみ山から集めて売っていた主なもの。
ペットボトル 1kg 7ペソ(約14円)
空き缶 1kg 9ペソ(約18円)
銅線や金属類 1kg 250ペソ(約500円)
セブンスピリットとの関わり
セブンスピリットの社会福祉士のドロシーが以前このイナヤワン地区で活動するフランスのNGOのローカルスタッフとして5年間働いてきた経緯があり、セブンスピリットでもスタディーツアーの訪問先としてイナヤワンには月に一度は訪れていました。
セブンスピリットではスタディーツアーで訪問させていただいている家庭にもし団体に衣類などの寄付があったときに渡したり、最近では毎週1回、セブンスピリットの音楽教室の掃除を依頼して謝礼を支払い生活費にしてもらっています。
またお話を聞いていく中でこの地域が抱える一番の課題は生活費を得ることが難しく子ども達が毎日食事をしっかり摂ることが困難な家庭が多いと聞きました。
これが今回の新しい音楽プロジがェクトの発足に繋がりました。
イナヤワンの音楽教室の様子
現在は10歳~15歳の子ども達20名が参加しています。男女比もちょうど半々で
毎週、木曜、金曜、土曜の朝10時から12時に時間帯で週に3日間の音楽教室を開校しています。指導にはセブンスピリットの18歳の年長の子ども達に担当してもらい自分達が学んできたことを次の世代に渡していくという循環ができています。
はじめは、ドレミファソラシドを歌ったり、楽譜の読み方を一緒に勉強していきました。それから、みんなで耳を澄ませてイナヤワンにある音を探しました。子ども達はバイクの音、誰かの足音、木の枝の音、風の音、人の声。たくさん見つけることができました。こういう身の回りの音もサウンドスケープといって音楽なんだよと伝えました。
子ども達の学習意欲はとても高いと感じています。楽譜の記号なども全部覚えてしまった子もいます。新しいことを学べる喜びを感じているのでしょうか。
お母さん達との関わり
子ども達が音楽の練習をしている間にお母さんに昼食の調理をお願いしています。この地域で食材を買ってもらい地域にお金が落ちるようにしています。そして練習が終わる頃には食事が完成してみんなで食べています。子ども達がお腹いっぱい食べて大きく成長して欲しいです。またお母さんには生活費の足しになるように調理作業への謝礼をお支払いしています。少しずつ生活環境が良くなっていくことを願っています。
これからの展望
4月の頭から2週間続けてきて、子ども達とも関係性を築けてきていると感じています。来週からは鍵盤ハーモニカ、リコーダーを使って練習を進めていきたいと思っています。子ども達も初めて楽器に触れるのを心待ちにしています。
これからも子ども達に音楽という切り口で日々の楽しみを持ってもらえるように活動を続けていきたいと思います。これからイナヤワンの子ども達がどのような音楽を奏でるのかスタッフも楽しみにしています。
このイナヤワンのごみ集積所には毎週日曜日に開催しているスタディツアーで訪問することができます。お支払いいただく参加費はセブンスピリットの活動費として使わせていただきます。
皆さんのご参加を心よりお待ちしております。よろしくお願いします。