活動報告のご登録
twitter facebook

セブ島での音楽教育

フィリピンの貧困層の子ども達を対象とした音楽教室を運営しています。

私たちの音楽教育活動

活動開始のきっかけ

セブ島には、路上で道行く人に物乞いをしたり、ブレスレットを売って日々のお金を稼いでいる子どもたちがいます。

彼らは生まれながらにして貧しい生活を強いられ、学校で満足に学ぶことも出来ない、子ども達です。社会とは断絶された彼らの生きる世界。好きなこと、得意なことを見つけ、自らの役割を感じ、果たすという経験のないままに年を重ねていきます。

彼らが、音楽の練習をする中で、何かに熱中し、規律を学び、また目標に向かって継続的な努力を積むことの大切さを体感することで、社会の中で役割をまっとうに果たしていける人になって欲しい。この願いから、2012年7月7日、子ども達の合唱隊の結成を起点に、セブンスピリットの音楽活動は始まりました。

子どもたちの成長

しかし、道で彷徨う子どもたち一人ひとりに声をかけ、合唱の練習をする。彼らをまとめることは、決して簡単なことではありません。先生の話に耳を傾けること。一列に並ぶこと。クラスメイトと協調して課題に取り組むこと。そのどれもが、私たちにとっては基本的なルールかもしれません。それでも、スラムで生まれ育ち、教育を満足に受けられていない彼らにとっては大きなチャレンジとなります。レッスンがままならず、思わず中断されてしまうこともありました。その中でも私たちと子どもたちは、毎週2回の練習を継続して続けていきました。

すると、はじめは練習後に配っている食事を目当てで活動に参加していた子どもたちが、毎週の練習を重ねるごとに、「歌う事」自体を楽しむ様になっていく。また、集団の中で自分自身がどう振る舞い、どんな役割を果たすべきかを掴み始めていることに私たちは気づきました。今まで社会に無視されてきた子ども達が、音楽の練習を頑張る事で、たくさんの人の注意を惹き、笑顔で接してもらえ、集団の中で生きることを感じられる。この経験は、彼らを大きく変えました。

9月に行われた初めての発表会。決して技術の高い合唱ではありませんが、そこにはきちんと整列し、胸を張って元気に歌っている子どもたちの姿がありました。わずか3ヶ月での彼らの成長ぶりに、「音楽の力」を実感させられた瞬間となりました。

教育環境の改善

活動開始当初の練習場所は屋外体育館。扉のない体育館には多くの人が出入りし、子どもたちの集中が妨げられることもありました。何より、個人ごと、パートごと、そして最後に全体で合わせるという段階が必要となるアンサンブル練習において、一切の仕切りがない体育館は、決して優れた環境とは言えませんでした。

2012年11月から30日間、キャンプファイヤーというオンライン寄付サイトにセブンスピリットのページを設け、スタジオ設立の寄付を募りました。多くの方からのご協力のもと、約65万円を寄付していただき実現しました。現在のスタジオには防音設備のある3つの小部屋と1つの大部屋、そしてオープンホールがあり、子どもたちが練習に集中できる環境となっています。スタジオが設立できたのは、2013年の年明けのことです。

スタジオ設立による、教育への貢献度は計り知れません。音楽レッスンの際、子どもたちがより集中できるようになっただけでなく、教室のルールができたため、彼らの間で日常生活においても規則を守ることが意識されるようになってきました。

現在の様子と今後の抱負

2013年11月から音楽が専門のスタッフが加わり、リコーダーと鍵盤ハーモニカのアンサンブルを充実させて、また管楽器の寄付が集まり2014年4月から吹奏楽のウインドクラスを開講しました。様々な演奏会に参加していき、2014年8月にセブ島で開催された日比交流盆踊り大会では約1万人の聴衆の前で両国国歌などを演奏しました。2015年3月からヴァイオリンの寄付が集まり始めたのをキッカケに弦楽器を導入してオーケストラになりました。電子ピアノの寄付もあり音楽クラスは充実してきました。オーケストラ、コーラス、指揮法、音楽の歴史、ソルフェージュ等を子ども達は学んでいます。 そして子ども達の成長は著しく週末にスタディーツアーにご参加いただいている方からも子ども達の演奏を聴いて、いい演奏だった、心が洗われたという感想をいただけるようになってきました。今後も楽器の寄付を募り子ども達への教育活動を充実させていきたいと考えています。また国内、国外の音楽団体との交流も増えてきています。システマ・フィリピン(フィリピンのエルシステマ団体)、NPO日本青少年オーケストラの皆さん、との交流を深めています。2017年4月には日本への演奏旅行をクラウドファンディングでのご協力により成功させることができました。これからは音楽という世界共通語を武器に世界中の人々と音楽交流をして行きたいと思っています。

たくさんの方からの楽器のご寄付を頂き少しづつ本物のオーケストラのようになってきました。これからも現地に根付いて現地の人々になる活動を続けていきます。これからもよろしくおねがいします。(永田正彰)